中東史

中東史の帝国再編2:列強が引いた国境線と「人工国家」の悲劇

もともと中東には、オスマン帝国やサファヴィー朝という巨大な傘の下で、宗派や部族が緩やかに共存する多層的な秩序が存在していました。そこには厳密な国境線はなく、地域の多様性を包み込む柔軟な余白がありました。しかし18世紀末から20世紀初頭にかけ...
中東史

中東史の帝国再編1:イスラーム世界はなぜ「国境」を必要としなかったのか

人類の歴史は、「不安」を「コントロール」する手段として、権威・権力・民衆の三層構造からなる「社会」を構築してきた物語です。今回から二回にわたり、「中東史の帝国再編」と題して、欧米列強が生み出した帝国主義が中東社会にどのような影響を及ぼしたの...
中東史

中東史の帝国2:イスラーム革命と普遍的統合の実現

中東の歴史は、広域を統合する「普遍的権威」の確立をめぐる試行錯誤の連続として捉えることができます。前回は、アケメネス朝が確立した帝国統治の枠組みが、アレクサンドロス大王の東征とヘレニズム諸国を経て継承され、最終的にゾロアスター教を権威とする...
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中東史の帝国1:古代中東における「権力」と「権威」の実験

人類の歴史は、「不安」と「コントロール欲求」の物語です。メソポタミアとエジプトで誕生した中央集権的な領域国家というシステムは、その成功ゆえにさらなる資源と安全保障を求め、領土拡大へと向かいました。この飽くなき拡大志向が、複数の政治体や多様な...
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中東史の国家3:古代エジプトの国家誕生

人類最古の文明といえば、多くの人がメソポタミアとエジプトを思い浮かべるでしょう。文明の興り(都市の誕生)そのものはメソポタミアの方が早かったものの、広大な範囲を一人の王が治める「領域国家」への移行については、実はエジプトが数百年先んじていま...
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中東史の国家2:古代メソポタミアの国家誕生

「不安」と「コントロール欲求」でたどる人類史。前回、領域国家の運営が文字と貨幣の誕生に繋がったことを確認しました。今回から2回にわたり、人類最古の文明が花開いたメソポタミアとエジプトという二つの国家が、それぞれどのような不安に直面し、それを...
中東史

中東史の国家1:「文字」と「貨幣」による抽象化の革命

人類の歴史において、紀元前3000年紀から2000年紀にかけては劇的な転換期でした。それは、権力者が都市とその周辺を統治する「初期国家(都市国家)」の段階から、広範な領域と多種多様な民族を統治する「領域国家」の段階へと進化した時期です。メソ...
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中東史の初期国家:「権威」「権力」「民衆」の三層構造の誕生

最終氷期が終わった後の数千年間、人類は「部族社会」という枠組みの中で、農耕と定住による相対的な安定を手にしました。しかし、紀元前4000年紀、メソポタミア南部(シュメール地域)において、その構造は限界を迎えます。食料生産の成功は爆発的な人口...
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中東史の部族社会:農業革命と定住の開始

人類史を駆動する「不安」と「コントロール欲求」という物語は、中東地域で起こった農業革命によって決定的な転換点を迎えました。最終氷期の終焉とともに、人類は自然界の恵みを享受する「利用者」から、自ら食料を生産する「生産者」へと歩み始めました。 ...
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中東史のバンド社会:肥沃な三日月地帯の夜明け

私たちが暮らす高度な文明社会は、複雑な法制度や経済システム、そして巨大な国家組織によって成り立っています。しかし、人類史の99%以上の期間において、私たちの祖先はこれほど大規模な集団で暮らしていたわけではありません。その大半は「バンド社会」...