東欧史

帝国の再編:スターリンとともに栄え、スターリンとともに衰退したソビエト連邦

前回の記事で、構造的矛盾を抱えたまま近代化に乗り遅れたロシア帝国が、第一次世界大戦の重圧下で自壊する過程を追いました。しかし、専制体制に終止符を打ったかに見えた1917年の革命は、より強大な超中央集権体制「ソビエト連邦」の誕生を招きました。...
東欧史

帝国2:構造上の問題を抱え続けたロシア帝国

前回は、ロシア帝国が専制(ツァーリズム)を絶対とする巨大な「コントロールシステム」を完成させた過程を見てきました。このシステムの基盤は農奴制という旧弊な社会構造であり、帝国の財政と軍事を支える根幹でした。しかし、時代が産業革命と国民国家の世...
東欧史

帝国1:ユーラシアを制したロシア帝国の誕生

人類史は、常に「不安」と、それを「コントロール」しようとする飽くなき欲望の物語です。今回焦点を当てるロシア帝国の誕生も例外ではありません。東スラヴ人の国家は、13世紀のモンゴル侵攻という未曽有の危機に直面し、その発展は一度中断されたかに見え...
東欧史

国家2:タタールのくびきがスラヴ人に与えた影響

前回は、キエフ公国(キエフ・ルーシともいう。ルーシとは現在のロシア、ウクライナ、ベラルーシの共通の歴史的なルーツとなる地域・国家・民族を指す言葉)が、ノルマン人の武力と、ビザンツ帝国(ギリシャ)からもたらされたキリスト教・文字・貨幣という抽...
東欧史

国家1 ノルマン人が建てた東スラヴ初の国家キエフ公国

人類の歴史は、私たちを駆り立てる根源的な「不安」と、それを何とか「コントロール」したいという飽くなき欲求の物語です。これまでの連載では、部族社会が豊穣神や祖先崇拝といった「権威」を生み出し、初期国家が王や聖職者という「権力」を創出することで...
東欧史

初期国家:馬と車輪そして言語の拡散

部族社会の時代、東ヨーロッパの広大な大地には、定住農耕に長けたククテニ・トリポリエ文化と、馬の家畜化という革新を成し遂げたスレドニー・ストグ文化などのステップ文化が並存していました。この対照的な二つの世界は、紀元前4千年紀末から紀元前3千年...
東欧史

部族社会:東欧における2つの部族社会

人類の歴史は、私たちを駆り立てる根源的な不安と、それを何とかコントロールしたいという飽くなき欲求の物語です。西アジアの「肥沃な三日月地帯」で始まった農業革命という変革の波は、紀元前7千年紀頃から徐々にヨーロッパへと伝播し、広大な東ヨーロッパ...
東欧史

バンド社会:東欧に到達した人類の物語

人類史を、根源的な「不安」とそれを「コントロール」しようとする飽くなき欲求の物語として読み解く本ブログ。今回は、人類が地球上に登場して間もない頃、血縁を中心とした小さな集団で暮らしていたバンド社会(旧石器時代)に焦点を当てます。この時代は、...
東欧史

東欧史:東欧史理解の鍵は「起承転結」にあり?

東ヨーロッパの歴史は複雑で分かりにくいと感じられるかもしれませんが、その壮大な物語を解き明かす鍵となる一つのシンプルなフレーズがあります。西欧史の「ギリシャ人が耕し、ラテン人が種をまき、ゲルマン人が開花させた」に対し、東欧史は「ノルマン人が...
西欧史

西欧のこれから:自由と民主主義の行方

根源的な不安と、それをコントロールする人類の仕組み私たち人類の歴史は、常に「不安」との闘いでした。自然災害、飢餓、病、そして死という生存を脅かす不確実性。この根源的な不安を少しでもコントロールしたいという飽くなき欲求こそが、文明と社会を生み...